副題は「日本語の歴史 鳥声編」。
1989年に大修館書店より刊行された『ちんちん千鳥のなく声は―日本人が聴いた鳥の声―』を文庫化したもの。
和歌や狂歌、物語、狂言、童謡、唱歌など数々の文献を調査して、日本人が鳥の鳴き声をどのように言葉で表してきたかを歴史的に考察している。取り上げられているのは「カラス」「ウグイス」「ホトトギス」「トビ」「ヌエ」「スズメ」「フクロウ」「キジ」「チドリ」「ウトウ」「ガン」「ニワトリ」の12種類の鳥。
著者は「写声語」(実際の声をできるだけ忠実に再現したもの)と「聞きなし」(普段使っている言葉に当てはめて声を聴くもの)という二つの概念を用いて、鳥の鳴き声を探り当てていく。
その結果、明らかになるのは、実にさまざまな鳴き声の変遷である。そこではウグイスが「ヒトクヒトク」と鳴いたり、スズメが「シウシウ」と鳴いたり、ニワトリが「カケロ」と鳴いたりしている。
こういう本を読むと、やはり学者というのはすごいなあと思う。専門的な知識や文献の調査力ももちろんだが、その成果を一般の人にもわかるように伝える力というものに驚かされる。
2008年11月6日、講談社学術文庫、1050円。
2013年01月14日
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