昭和15年、1940年には紀元2600年にあわせて「東京オリムピック」が開催され、「日本万国博覧会」も行われる予定だった。そんな「実際にあり得たかもしれない歴史」をたどることで、戦前から戦後にかけての歴史を見直そうという一冊である。
他にも1940年に初めてのテレビドラマが放映された「テレビジョン」、1940年に帝国議会で計画が承認された「弾丸列車」といったものが取り上げられている。
1964年に開催された「東京オリンピック」の第2会場となった駒沢競技場が、1940年の「東京オリムピック」のメインスタジアム予定地であり、1970年の「日本万国博覧会(大阪万博)」で1940年の「紀元二千六百年記念日本万国博覧会」の前売り入場券が使用できたといった話を知ると、戦前と戦後が一続きのものであることがよくわかる。
「新かな」や「当用漢字(常用漢字)」「新字体」といった戦後の国語改革も、戦後に初めて考え出されたものではない。戦前と戦後を分断して見るのではなく一貫した歴史としてとらえることが、今後ますます大切になっていくだろう。
著者の「指南役」は草場滋を代表とするエンターテインメント企画集団。この本もサブカルチャー系の書き方でやや軽いところもあるのだが、そうした新しい歴史観がはっきりと打ち出されている。
2009年4月6日、アスペクト、1500円。
2013年01月13日
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