土地の持つ歴史や記憶を丹念に探りつつ、現在につながる様々な問題を読み解いていく「アースダイバー」の大阪版。
著者はまず古代の地形図を参考に、上町台地を南北軸に、住吉〜四天王寺〜生駒を東西軸に据える。そして、かつての河内湖や海の姿を再現しつつ、大阪という都市の成り立ちやそこに移り住んだ人々の姿を描き出していくのである。
非常にユニークで、刺激的で、面白い。
大阪人の信仰、商売、芸能、差別、祭といったものが、土地の歴史に深く根ざしていることが、よくわかる。著者の考えは歴史学、社会学、民俗学、宗教学、哲学、言語学、政治学からサブカルチャーまで、実に様々なジャンルに跨っており、ものを考えるというのはこういうことなんだと教えられた気がした。
2012年10月10日、講談社、1900円。
2012年12月21日
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