2012年11月09日

星野博美著 『島へ免許を取りに行く』


集英社インターナショナル
発売日:2012-09-26

40代半ばの作者が、長崎は五島列島の福江島にある自動車学校で運転免許を取得するまでの出来事を描いた小説。

人間関係の悩みや愛猫の死から立ち直るために、何か新しいことにチャレンジしようと思った作者は、初めて自動車の運転免許を取る決意をする。そこで選んだのが「ごとう自動車学校」。目の前に海が広がり、馬場が併設されていて乗馬指導員がいるというちょっと変った学校である。

教習所の先生や事務員、合宿生、地元の通いの生徒など、30名以上の人が次々と登場するのだが、作者の人間観察と描写力は鋭くて、ひとりひとりの姿が浮かび上がってくる。

教習の合間に訪れた福江島の風景や集落の様子なども記されていて、五島列島へ行ってみたいなという気持ちになる。ちょうど「島へ」という雑誌の11月号でも五島列島の特集が組まれていて、きれいな写真を眺めていたところだった。

行きたい所ばかり増えて困ってしまう。

2012年9月30日発行、集英社インターナショナル、1500円。

posted by 松村正直 at 00:32| Comment(2) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
読んでないのですが、教習所にこれほどドラマあるのかと驚きました。

私(男です)も40代で教習所通いしているのですが、
ほとんど教習生が20才前後ということもあるでしょうし、
私が教習所で心を通わせようとしていないのも確かですが、
極めて事務的に通い、コミュニケーションのかけらもありません。
意外なのは、若い人どうしでも、地元の知り合い以外は
コミュニケーションとっていないようで、行き帰りの送迎バスの中は
ひたすら無言です(会話聞いた時ありません)。
ちなみに住まいは東京郊外です。

松村さんなら、こういう環境でもオープンに話しかけたりするのでしょうか?と少し気になりました。
松村さんのデビュー作「駅へ」は以前拝読しました。
上手い感想文書く筆力ないのが残念ですが。

私も自然や旅は好きなはずなのですが、周囲に隷属して生きるうち
、全く旅しないようになってしまったので、松村さんのBlog記事は
自分の埋もれた一部を掘り起こしてくれるような感じがします。
Posted by 卓 at 2012年11月12日 16:14
僕も他人にオープンに話しかけたりはしないですよ。
むしろ一人でいる方が気楽というタイプです。

この本に出てくる教習所も、卓さんがお書きの状況とさほど変わらないです。ちょっと引用してみると

…すでに食堂で二回食事をしたが、生徒たちはみなぽつんぽつんとバラバラに座り、ほとんど会話らしい会話をしていなかった。(…)友達を作りたくてここへ来たわけではない。しかし毎日顔を合わせるのなら、簡単な会話ができるくらいの関係性は築きたい。(…)深呼吸してドアを開け、「おはようございまーす」と元気よく食堂に入った。腰かけていた何人かの男女がこちらを向くが、特に反応はなく、また食事に戻ってしまった。…

という感じ。

でも、著者は必ず自分から挨拶をするようにしているのですね。
これが、けっこう大事なんだろうなと思いました。
Posted by 松村正直 at 2012年11月12日 18:26
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