2012年10月01日
古い会員の方々を
2005年に「塔」の編集長になる前に、永田家に呼ばれたことがある。永田さんと河野さんからいろいろ話を聞いたのだが、その時に河野さんに言われたのは「古い会員の方を大事にして下さい」ということだった。
その時は、ちょっと意外な気がしたものだ。「良い誌面を作って下さい」でも「会員が増えるように努力して下さい」でもなくて、「古い会員の方を大事にして下さい」。何だか拍子抜けがした。
河野さんのあの言葉の意味がようやくわかってきたのは、たぶん最近のことだろう。歌壇的には全く無名でも、結社の中でコツコツと歌を作り続けている人が、世の中には大勢いる。そうした方々を抜きにして、結社や短歌を語ることはできない。
選歌していて、私が生まれる前から在籍しておられる人の存在を間近に知ります。
言葉のキレとかは別として、そういう方々が地域をまとめたり新人を歓迎してくださったり、あるいはじっと作り続けたりしているのですよね。
そういう方が、85歳とか90歳とかになられたと知ると、おどろきます。
「コスモス」の詠草用紙には、年齢を書く欄があるのでわかるのですが。
「コスモス」では、そういうことは言わないで、なんとなくわかっているでしょう?みたいな雰囲気だけなので、きちんと言うことのチカラを感じました。
「塔」でもこういうことは、あまり表立って言うことは少ないのですが、やはり結社を運営したり結社誌を編集したりする際には、心がけておくべきことのような気がします。
歌壇的な評価や知名度だけがすべてではない、ということですね。
河野さん特有の事情もあったのでしょうね。
これは。表だって言っても良い、とても大切なことだと思います。
私も言われたと思って心に留めておきます。