2012年09月29日
和田一雄編著 『海のけもの達の物語』
副題は「オットセイ・トド・アザラシ・ラッコ」。
鰭脚(ききゃく)目アシカ科の「オットセイ」「トド」、アザラシ科の「ゼニガタアザラシ」「ゴマフアザラシ」、食肉目イタチ科の「ラッコ」という5種類の海の動物について、その誕生から繁殖、回遊などの生態や分布、さらには人間との共存や保護の問題までを記した本。
舞台となるのは北海道東部、サハリンのチュレニイ島、千島列島、カムチャツカ半島、コマンドルスキー諸島といった北太平洋の島々である。1991年にロシアの極東地域が外国に向けて開かれて以降、日露の共同調査なども進んでいるらしい。現地で行われた観察のエピソードや写真なども豊富に載っていて楽しい。
驚いたのは、こうした海の動物の母乳に含まれる脂肪分の多さ。人間や牛の場合3〜4%のところ、トドは20%、ラッコは23%、ゴマフアザラシに至っては何と50%もある。その代わり、ゴマフアザラシであれば母乳をもらえる期間は2〜3週間で、その後は自立しなければいけないのだそうだ。
2004年2月8日、成山堂書店、1600円。
この記事へのコメント
コメントを書く