2012年08月17日

力あるまなこ

力あるまなこはわれを測りゐき宮柊二五十九歳卓を隔てて
                  河野裕子『体力』
この歌に似た場面のことを、河野さんは次のように語っている。昭和44年の角川短歌賞の授賞式の場面。
(…)ふと顔を上げると、斜め向かいに宮先生がおられて、瞬きもせず、じーっとこっちを見ていらした。見竦(みすく)められるって、あれですね。私はハッと固まってしまいました。宮柊二先生はあのとき、まだ二十二、三歳の私を「これはどれだけのものか」と計っていらしたんですね。         『私の会った人びと』
ただし、この時点(昭和44年6月)では宮は56歳なので、歌に詠われているのは別の時のこと。おそらく、昭和47年5月に第1歌集『森のやうに獣のやうに』を出版したあと、横浜に住むことになり、永田さんと二人で宮柊二の自宅に挨拶に行った際のものだろう。当時、宮柊二59歳、河野裕子25歳である。

ちなみに、宮柊二(1912年生まれ)と河野裕子(1946年生まれ)の歳の差(34歳)は、高安国世(1913年生まれ)と永田和宏(1947年生まれ)の歳の差と一緒。

posted by 松村正直 at 08:00| Comment(0) | 河野裕子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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