2012年07月18日
太田幸夫著 『北の保線』
副題は「線路を守れ、氷点下40度のしばれに挑む」。
長年にわたって北海道で線路や鉄道施設を守る保線に携わってきた著者が、「保線」という仕事の内容や歴史を、豊富なエピソードを交えつつ記した本。実際に現場で経験を積んできた人ならではの話がたくさん載っている。
私たちは鉄道の仕事と言えば、運転手や車掌、駅員のことをまず思い浮かべるわけだが、実際はそれ以外の多くの人々の力によって列車の運行は支えられている。「国鉄(JR)にはパイロットを除いたすべての職がある」という言葉が、それをよく表しているだろう。
「枕木」のことを英語で「sleeper」と言うことや、現在は木以外の材料が使われることが多くなったため、「マクラギ」という表記が一般的になり、木の枕木のことは「木マクラギ」という呼び方をするなど、雑学的な話も面白い。
地中の水分が凍って地面が盛り上がる「凍上」やトンネル内の「結氷」と闘う保線員の話を読んでいると、35℃を超える夏の暑さもどこかへ吹き飛んでしまいそうである。
2011年8月15日、交通新聞社新書、800円。
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