2012年07月10日

なんば


永田さんの歌集を読んでいたら、こんな歌があった。
南蛮はおそらく赤髪(あかげ)に由来せる我がため南蛮(なんば)を植えいたる祖父
                    永田和宏『華氏』
「*南蛮=とうもろこし」という註が付いている。
これを読んで思い出したのが、次の一首。
トウキビをナンバと呼びいし祖父のなし畝には花の苗ばかりなり
                    永田淳『1/125秒』
もちろん「祖父」と言ってもそれぞれ別の人の話なのだが、どこか共通しているものを感じる。「とうもろこし」のことを「なんば」と呼ぶのは、関西の方言だろうか。ある程度の年齢より上の人は普通に「なんば」と呼ぶようだ。

もともと「とうもろこし」は「唐」+「唐土(もろこし)」だし、「とうきび」は「唐黍」、「なんば」は「南蛮」で、いずれも外来種であることを指している。僕自身は「とうもろこし」を「とうもろこし」としか呼んだことがないのだが、こういう歌を読むと、地域や世代によって様々な呼び方があり、それがまた深く記憶に結び付いていることがわかって面白い。

posted by 松村正直 at 01:24| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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