2012年06月30日

夜の駅舎(その1)


「塔」6月号を読んでいたら、こんな歌があった。
さびしさや夜の駅舎に佇める河野裕子を思ひて泣きぬ
             田口朝子
河野さんが亡くなって、もうすぐ2年。
今でも誌面には、こうして河野さんを偲ぶ歌が載る。

この歌は、もちろん
さびしさよこの世のほかの世を知らず夜の駅舎に雪を見てをり
             河野裕子『歩く』(2001年)
を踏まえたもの。

「よ」「世」「世」「夜」「雪」と繰り返される「Y」の音が、沁み透るような韻律を生み出している。
シンプルな歌であるが、どの言葉も動かない。

posted by 松村正直 at 01:48| Comment(0) | 河野裕子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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