「京大短歌」18号を読む。座談会「2011年に感じたこと」(大辻隆弘・藪内亮輔・大森静佳)が面白い。大辻さんはかなり率直に言いにくいことも述べているし、藪内さんや大森さんも、大辻さん相手に健闘(?)していると思う。
一番共感したのは、大辻さんの次の発言。
なんか「レトリック」という概念にちょっと問題があって、「レトリック」っていうとなんか暗喩とか比喩とか、そういう西洋詩学的な概念やん。和歌的な「てにをは」なんか、レトリックじゃない、というみたいな。加藤治郎さんの影響だと思うけど「レトリック」にしろ、「修辞」にしろ、すごく前衛短歌的な作歌テクニックっていうような感じがする。でも本当は、暗喩やオノマトペ以外にも、短歌の技法はいっぱい存在するわけやん。「てにをは」とか「調べ」とかさ。ものすごく広い意味での短歌的な技術という、「技(わざ)」っていうのがあってさ。そういう広い視野に立たなければダメなような気がする。
まさにその通り、という感じだ。この前提なくして短歌の「レトリック」や「修辞」について語ってみても、仕方がないと思う。