2012年05月09日
河野裕子著『うたの歳時記』
「NHK歌壇」1999年4月号から2年間、「NHK短歌」2005年4月号から2年間、あわせて4年間連載された文章をまとめたもの。
「葉桜」「花火」「菊人形」「雪」など毎回テーマを決めて、短歌や俳句の鑑賞をまじえつつ、エッセイ風に記している。一冊を読むうちに春夏秋冬が4回めぐってくるわけだ。
数えたわけではないが、石川不二子さんの歌が一番多く引かれているのではないか。それについては、思い当たることがある。
河野さんと石川さんは、2009年に迢空賞を同時に受賞した。その時の河野さんの挨拶(録音)を聴き直してみると、「石川不二子さんと一緒に受賞ということがとても嬉しくて。皆さんご存知ないと思いますけど、私は石川不二子さんの歌を読むのがとても好きで、私にとって大切な方」と話している。
あの言葉は、なるほど本当だったのだ。
2012年4月25日、白水社、2200円。
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