かつて南氷洋捕鯨に参加していた著者が、鯨と日本人の関わりや、捕鯨の歴史、捕鯨に生きた人々の姿などを記した本。
1982年のIWC(国際捕鯨委員会)の商業捕鯨停止決議を受けて1988年に日本が商業捕鯨をやめるに至る時期に書かれた本であり、序章の「捕鯨存続をかけて」にはやや感情的な表現が目立つ。
しかし、全体としては、鯨料理や鯨に関する文化の紹介なども含めて、日本人と鯨の結び付きの深さがよく描かれている。
この本の良いところは、実際に捕鯨に従事した人ならではの愛情が随所に表れている点だろう。単なる懐かしさではなく、鯨とともに生きた人々の姿を記録にとどめたいという思いが、ひしひしと感じられる。
1988年2月20日、洋泉社、1700円。
2012年05月03日
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