田舎の大きな家に、老いた両親が二人きりで暮らしている。次郎という犬が一匹いたが、その犬も去年死んでしまった。養子娘の身が、親を残して家を出てしまったという負い目が、ずっと私の中にある。
養子娘というのは、婿養子を取った娘、あるいは婿養子を取るべき娘といった意味なのだろう。河野さんは二人姉妹の長女だったから、自分が河野家を継ぐべきという考えを持っていたわけだ。「負い目」という強い言葉を使っていることに、ちょっと驚く。
そのあたりの、河野さんの実家に対する思いや「家」についての考え方が、僕には今ひとつわかりにくい。河野さんは「嫁」という言葉が大嫌いで、歌会でも「嫁」という語を使った歌に否定的であったくらいだが、僕から見ると「養子娘」という言葉も似たようなものに思えるのだ。
河野さんの家族像や家族観には、古風な部分と現代的な部分とが奇妙に入り混じっている。そんな印象を受ける。
私自身も、嫁という立場での歌は作ることがほとんどないし、職業柄、男女平等の考えも強い方だし。でも心の奥底にはおばあちゃんっ子だった、どちらかと言うと大家族の古い習慣を大事に思っている部分もあるような。
ああ、もっと裕子さんと家族についてもしゃべりたかったなあ♪
確かに、その両面があるのでしょう。
自分が生まれ育った家庭と、自分が築いていく家庭とでも、また違うでしょうしね。
あとから自分で得た思想とは別に
幼少から両親、家族、親戚そして地域のひとたちに
「長男がいなければ婿養子をもらって・・・」
との考えを植え付けられるのです
家というものを途絶えさせないための
知恵とも言えるでしょう
まあ
長男であっても家を継ぐかどうかわからない
今となっては事情が違いますが・・・
小さい時から植え付けられた考えがあるわけですね。
僕は自分の生まれ育った家が、全然そういうことのない
家だったので、頭ではわかっても、なかなか実感が
ないのです。