以下のような部分が、特に印象に残った。
短歌について考える上でも、随分と参考になるように思う。
演劇を創るのに主題はいらない。空間と人間と、その人間たちの関係を決定すれば演劇はできる。
戯曲を書くうえでの一番の規則は、「登場している人しか喋れない」という点である。
人間は、すでに共有している情報について、わざわざ話をすることはない。だから例えば、夫婦と一男一女の家庭の食卓を舞台とすれば、いつまで経っても、その四人の会話からは、父親の職業すらわからないことになってしまう。
背景を書き込むとは、説明的な台詞をたくさん書けということではありません。さりげない一言でも、人物の背景は十分に説明できます。それが、戯曲の力です。
今年の「塔」の全国大会の二日目(8月19日)には、平田オリザさんに来ていただくことになっている。どんな話を聞くことができるか、今から楽しみだ。
1997年7月18日、晩聲社、2000円。