2012年04月28日
北方異民族慰霊之碑
芦屋に用事があったついでに、昨日は午後から神戸護国神社を訪ねた。
快晴の汗ばむような陽気である。
神社の横の公園では小さな子どもたちが遊んでおり、母親たちが集まって立ち話をしている。
境内にはいくつもの慰霊碑が建っているのだが、そのうちの一つに「大戦殉難 北方異民族慰霊之碑」がある。第二次世界大戦やその後のシベリア抑留で亡くなったウィルタ(オロッコ)やニブヒ(ギリヤーク)の人々を弔う碑だ。
この碑は、戦時中樺太にあった敷香陸軍特務機関の機関長を務めた扇貞雄・元陸軍少佐が、1975年に建立したものである。先住民を徴集した側の人が建てたものであり、しかも神戸という土地は扇氏の地元というだけでウィルタやニブヒとは何の縁もない。
それでも、こうして石に刻まれた文字は、埋もれつつある歴史をかろうじて伝えるという役割を果たしている。かつてゲンダーヌも死んだ仲間たちのことを思って、この碑に参拝したということだ。
護国神社は高台にあり、遠くには海が見える。
シベリアで亡くなった樺太先住民たちの霊は、今ごろどこにいるのだろうか。
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