今回は国会議事堂、東京国立博物館、根津美術館、鎌倉、長崎、奈良などをめぐっている。
対談集という形なのだが、二人の掛け合いが漫才のようで面白い。二人の基本的な姿勢は、自分たちが現物を見て良いと思ったものを評価するということ。国宝だからとか、歴史的な価値があるからとか、そういう目では見ない。
でも、そうした世間的な価値観に抗うというのとも違う。もっと自然体だ。できるだけ縛られずに、自由に見ることが大切ということだろう。
先日訪れた聖徳記念絵画館も取り上げられている。
赤瀬川 順路に沿って見ていくと、前半部の最後にある絵ですね。入口から右側に入って、最初の絵の反対側のところ。要するに、日本画のトリにあたる。
山下 紅白歌合戦でいう、前半部のトリ。
赤瀬川 そう、紅白。前半四十人が日本画部門で、後半四十人が洋画部門。
聖徳記念絵画館と紅白歌合戦を結び付ける自由さ、これがこの二人の持ち味である。
2011年7月25日、中公文庫、762円。