2012年04月17日

七十歳(その1)

「塔」3月号にこんな歌がある。
この像の指を折りたる学生はどこに居む生きていれば七十歳(ななじゅう)
                   吉川宏志

広隆寺の弥勒菩薩像のことであろう。
かつて、ある学生があまりの美しさに触って指を折ってしまったというエピソードが広く知られている。

調べてみると、この事件が起きたのは1960年の8月18日のこと。20歳の京大生がしたことであった。学生は文化財保護法違反の容疑で取り調べを受けたものの、起訴猶予処分となったらしい。有名な事件であるが、確かにその後の学生の動向については何も聞かない。

この歌は、仏像を見ながら、そんな有名なエピソードの主について思いをめぐらせているのだろう。エピソードの中では永遠に20歳の学生のままだが、現実には、もし生きていれば70歳を過ぎた老人となっているのである。

posted by 松村正直 at 06:54| Comment(1) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
70歳といえばわたしもすでになっていて松村さんのお父さんよりも二つ若い。親と子のような年齢の差である。わたしは脳梗塞の病をもち後、どのくらいの命であろうか。あと十年かもしれない。いつのまにか年齢を重ね老人となり夢を見ているようだ。きままな遊びのような過程であった。その延長に歌があった。今、歌でものがたっているのだが100首くらいになるようだ。松村さんが70になったら人生の初めと思い志を立てるべきである。
Posted by 小天狗 at 2012年04月17日 08:55
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。