2012年04月05日

厚芝保一著 『北見志保子〜その人と文学〜』

著者は奈良県で長らく教職にあった方。昭和10年に作られ大ヒットした「平城山(ならやま)」の歌(北見志保子作詞、平井康三郎作曲)に惹かれて、北見志保子のことを調べ始めたとある。

「彼女について書いた本が、現在ほとんどない」と著者は述べているが、その状況は現在でもあまり変わらない。北見志保子に関するまとまった研究はほとんどないようだ。短歌史に大きな足跡を残した歌人であるにも関わらず、今では影の薄い存在となってしまっている。

そこには、いくつかの理由が考えられるが、このままで良いとは思えない。戦後「女人短歌」の編集発行人をつとめ、女人短歌叢書の第1番で歌集を出している歌人にふさわしい扱いが、今後なされていくべきだろう。
目になれてややに見えたりみ仏の坐像のみ胸ゆたかなるかも 『月光』
悔ゆるとき来るともよしや天地にこの人をこそわれは恋ふらめ 『花のかげ』
人恋ふはかなしきものと平城山にもとほりきつつ堪へがたかりき
いつの日にまた来むものかふるさとの水田の蛙けけろとなける 『珊瑚』
開かれし永劫の門を入らむとし植ゑし緋桃をふと思ひたり

1986年12月1日、奈良新聞出版センター、1300円。

posted by 松村正直 at 01:15| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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