昨日の朝日新聞の別刷には「耳かき必要なし」という記事がイラスト入りで大きく載っている。それによると、耳には自浄作用があり、耳そうじは必要ない。それでも耳かきしたい場合は「数ヵ月〜半年に一回が目安」「入り口から1センチくらいまでをくるりと一周」「1秒で終わり」となっている。
息子が小学校からもらってきた「ほけんだより」3月号にも、耳あか掃除は「1か月に1回、2〜3分程度」すれば十分であり、気持ちが良いからと言って長い間掻いていると、傷ができ、さらに痒くなってまた掻くという悪循環に陥るとある。
そんな感じで、今やすっかり悪者とされてしまった耳かきだが、私が子どもの頃は、「きれいに耳あかを取るように」とか「こまめに耳かきをすること」とか、耳かきが奨励されていたように思う。いつの間にか時代が変ったのだろう。
こういうことは、他にもいくらでもある。「熱が出ても解熱剤は使わない方がいい」とか「うさぎ跳びはダメ」とか「腹筋する時は膝を曲げて」とか「運動中にこまめに水分を摂らないといけない」とか。
もちろん、医学的にそれが正しいのだろう。ただ、その正しさも、何十年か経てばどうなっているかわからない。また新しい説が生まれて、別の教え方がされているかもしれない。結局、そういう曖昧な中に私たちは生きているわけだ。
そんなことを思いつつ、今日も机の前で何となく耳かきをしている。
耳掻(みみかき)をもちて耳のなか掻(か)くことも吾がひとり居(ゐ)の
夜(よる)ふけにけり 斎藤茂吉『暁紅』