梨木香歩の本は今まで読んだことがなくて、実はこれが初めて。
「塔」に原稿を書いていただいた(4月号)こともあって、一度読んでみようかと思ったのである。
最後の方に「キュウリ草」という名前が出てきてハッとする。最初に
小さな青い花をつけている。勿忘草(わすれなぐさ)をうんと小さくしたような花だ。
という説明があって、主人公が「ヒメワスレナグサ」と名付けて大事にしていた花だ。
もちろん、思い出したのは花山さんの歌集のこと。
そらいろのかすか見えゐし胡瓜草(きうりぐさ)まぎれつつあり五月の草生に
花山多佳子『胡瓜草』
あとがきには次のように書いてある。
胡瓜草は勿忘草とよく似ているが、花がもっと小さい。こちらの方がもっと勿忘なのだ。(…)うちのあたりでは、勿忘草より胡瓜草の方をよく見かける。身近にある「青い花」である。
こんなふうに、関係のないものの中に共通するものを見つけるのは楽しい。トランプの神経衰弱をしているような気分になる。
2001年8月1日発行、2011年6月15日 78刷、新潮文庫、400円。
『家守綺譚』が河野さんのおすすめではなかったかと。
▼真中さんに勧められて梨木香歩の『村田エフェンディ滞土録』を読み、
続けて『家守綺譚』を読んだ。久しぶりに読書の至福感を味わった。
とありました。2006年3月号ですね。懐かしい。