2012年03月02日

「未来」2012年3月号

「未来」2012年3月号を読む。
全208ページというかなりの厚さで、内容も充実していて誌面に活力がある。
いくつかの結社誌に毎月目を通しているが、「未来」が一番刺激を受けるように思う。

大島史洋さんが「関芳雄のこと」という文章を書いている。
これが、とても面白い。

歌壇的には全く無名の歌人だが、かつて(昭和37年〜46年)「未来」に十年間にわたって在籍して、歌を発表していたらしい。この方の歌をもとに、その人生を掘り下げていくという内容。その中から、河野愛子さんや画家の関主悦(ちから)との関わりなども見えてくる。

こんなこと調べて何になるんだと思う人も、きっと多いだろう。
でも、私はそうは思わない。
どういう価値があるとはっきりは言えないけれど、大事なことだと感じる。

亡くなった人は、もう自分のことを語ることはできない。
遺された歌によって、誰かがその人のことを語らなければ消えてしまうのだ。

結社の良さは、こんなふうに亡くなった人のことを忘れないで、ずっと語り継いでいくことにあるのではないだろうか。そんなことを考えさせられる文章だった。

posted by 松村正直 at 23:44| Comment(0) | 短歌誌・同人誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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