2012年02月01日

れんげ

『黄あやめの頃』の中に、こんな一首があった。
れんげ詠みれんげを寂しい花にした永井陽子の髪の毛細し
                    前田康子

これを読んですぐに思い出したのが、河野裕子のこの歌。
  二月八日 大雪 『てまり唄』再読
れんげさうの好きな歌人でありしかなほつそりとここにもれんげさうの歌
               河野裕子『日付のある歌』

2000年1月26日の永井さんの死去を受けて作られた歌である。
この時点では、まだ遺歌集の『小さなヴァイオリンが欲しくて』は出版されていないので、『てまり唄』が最後の歌集であった。

永井陽子の『てまり唄』を見てみると、なるほど、れんげの歌がいっぱいある。
貧乏籤からりと引いて引き捨ててれんげ明かりの道帰るのみ
仕事にも飽きて閉ぢたるまなうらにれんげが咲いてゐるではないか
珠数玉をたづさへ渡る向かう岸にもれんげが咲いてゐるならいいね
葬ひののちのことどもするうちにれんげの季節すぎてしまへり
そのかみのかなしいれんげつみにゆく少女に夜ごと逢ふ油坂

4首目に「葬ひ」とあるのは、亡くなったお母さんのこと。確かに寂しい歌が多い。

そう言えば、河野さんもまたれんげの歌をいっぱい詠んだ人であった。
言ひ負けし吾(あ)は来てかがむはるくさのれんげの茎の柔さ繊(ほそ)さよ
                   河野裕子『紅』

posted by 松村正直 at 00:04| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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