茂一さんは、斎藤茂吉の長男斎藤茂太の長男である。
茂吉の初孫溺愛ぶりにつては文章に紹介されているが、他にも忘れられないのが、
ぷらぷらになることありてわが孫の斎藤茂一路上をあるく
『つきかげ』
という一首。昭和23年の歌なので、当時茂一さんは2歳くらい。
小さな子がとてとて歩いて行く感じがよく出ている。「路上を」という言い方が、さり気なくうまい。
2008年に永田さんが斎藤茂吉短歌文学賞を受賞した時のこと。授賞式で初めて茂一さんを見て、白髪まじりの姿にびっくりした。頭の中では、まだ小さな子のままだったのである。
茂一さんの波乱万丈な人生については、斎藤茂一著『S家の長男』(2007年、新講社)に詳しい。とても面白い本なので、興味のある方はぜひお読みください。