2012年01月16日
河野裕子・永田和宏著 『たとへば君』
副題は「四十年の恋歌」。河野さん、永田さんの相聞歌を中心に、それに関連した二人のエッセイや文章などを組み合わせた一冊。歌はもちろんのこと、エッセイも読んだことのあるものがほとんどだが、全体の構成が非常に良くて、ぐいぐい読ませる。
時系列に沿って、「出会いから結婚、出産まで」(昭和42〜50年)、「若き日の父として母として」(昭和51〜59年)、「アメリカ、みどりの家の窓から」(昭和59〜61年)、「多忙な日常の中で」(昭和61〜平成11年)、「発病」(平成11〜20年)、「再発」(平成20〜22年)、「絶筆」(平成22年)の全7章に分かれており、二人の出会いから河野さんの死に至るまでのストーリーが浮かび上がるようになっている。
歌の配列や文章の挿入といった全体の構成は、文藝春秋出版局の池延朋子さんという方が担当されたとのことだが、さすがにプロの仕事である。普段は短歌と縁のない方にも、スムーズに読んでもらえる内容になっている。この本をきっかけにして、河野さんの歌集を読んでみようと思う方が増えてくれたら嬉しい。
2011年7月15日、文藝春秋社、1400円。
その辺のあまっちょろい恋愛ドラマではなく、上質な映画を見ているようなそんな感覚を味わいました。まさに出版社の思うツボにはまっていたんですね!
何度も読みたくなる。泣いちゃうけど、元気にもなれる。そんな一冊です。
そして、短歌の魅力が広まるといいなと思います。