2012年01月05日

河野裕子著 『わたしはここよ』

河野 裕子
白水社
発売日:2011-11-29

エッセイ集。「京都新聞」「西日本新聞」「GYROS」「短歌」などに発表されたエッセイ62編が収められている。全体が二部に分れていて、第一部が2000年の発病以降、第二部が発病前のもの。

この本を読むと、短歌に対する私の考えの多くが河野さんに教わったものであることを、あらためて感じる。
短い詩型に理屈は要らない。理屈を超えたことばを、身体が掴む。そして、身体で作る。(…)そういう時のことばは不思議なもので、現在の自分の身体と時間の、ずっと先の方を走っている。あるいは、生身の身の丈を越えている。
自分のことは自分がいちばんよく分かっていると思うのは一面の真理かもしれないが、短歌においてはこれはあてはまらない。自分の歌の良し悪しが自分ではなかなかわからない。他人の歌なら一読たちまち評価できるのに。
こうした話を生前の河野さんから何度聞いたことだろう。その声が、文字の間からありありと響いてくる。

2011年12月10日、白水社、1800円。

posted by 松村正直 at 13:58| Comment(2) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
君の歌をみていると河野裕子先生の薫陶を受けられたことがよくわかります。羨ましいかぎりです。先生を土台にして優秀な作品が生まれることを祈っています。
Posted by 小川良秀 at 2012年01月05日 14:54
ありがとうございます。
Posted by 松村正直 at 2012年01月06日 07:31
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