2011年12月06日

角川「短歌年鑑」平成24年版

短歌に関する文章を書く場合、自分の思っていること、考えていることを、最後まではっきりと、遠慮せずに書くことが大切だと思っている。はっきりと書くことには、もちろんリスクが伴う。けれども、リスクを伴わないような発言や文章が力を持つはずもない。

そういう意味で、加藤治郎「想像力の回復を」、吉川宏志「当事者と少数者」の2編は、ともに印象に残る文章であった。それぞれ小池光の『ミドリツキノワ』評や岡井隆の「大震災後に一歌人の思ったこと」に対する異論を含んでいるのだが、きちんと自らの考えを表明して最後まで書き切っている。

立場や賛否は別にして、こうした文章は読んでいて気持ちが良い。そして、ここからさらに新たな議論へと発展していく可能性が開かれている。十分な覚悟をもって書いた文章だからこそ、次の議論へのステップになり得るのだ。

posted by 松村正直 at 23:28| Comment(0) | 短歌誌・同人誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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