2011年11月09日

「あまだむ」2011年11月号

ディスカッション「二十一世紀型の結社をもとめて」という座談会が面白い。
参加者は阿木津英(兼司会)、島田幸典、真野少、村山寿朗の4名。最初に阿木津さんが
「牙」が終刊しましたが、その有志とともに「あまだむ」も改組して、新結社として合流・再出発しようということになりました。これを機会に改めて根本的に結社というものを、日本の伝統詩形の特殊性を考え合わせながら、議論してみたいと思います。
と、座談会の主旨を述べている。その後、全25ページにわたって、結社の意味や歴史、選歌、添削の問題、師弟関係、批評のあり方など、結社の抱える様々な面について、ざっくばらんな意見交換が続く。もとより結論の出るような話ではないが、こうした議論の積み重ねは大事なことだと思う。

印象に残った発言をいくつか、引いておこう。
阿木津 「牙」なんかも復刊当時は、石田比呂志編集ノートを見ても初々しく主張してる。宗匠主義を廃するとか、権威主義を廃するとか。わたしは入った当時すごく共感した。やっぱり戦後生まれだから。でも、終るころには立派な「宗匠」になっていた(笑)
島田 だから俺が最初の方で言ったけど、雑誌というものにとらわれすぎたんじゃないかという、二十世紀結社に対するひとつの疑問はそこにある。雑誌編集、雑誌出版ってそれ自体、独自のメカニズムだし、かついちばんお金がかかるじゃない。そっちの方に気持がいきすぎちゃって、もともと何で集団作ったんだろう、ここに入ったんだろうって忘れちゃうんじゃないですかね。(…)
真野 (…)俺ね、石田さんを訪ねて行ったとき、石田比呂志が石田比呂志であるように俺は俺であり得てない、みたいなことが唐突に自分の口をついて出て、泣いちゃったんですよ。そういう、人のこころのいちばん弱いところを、一瞬につかんでそこに寄り添う能力、あれは卓抜したものだった。(…)

posted by 松村正直 at 01:02| Comment(0) | 短歌誌・同人誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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