2011年11月08日
常石敬一著 『七三一部隊』
副題は「生物兵器犯罪の真実」。
七三一部隊とは、中国のハルビン近郊にあった「関東軍防疫給水部」の本部のこと。通称「満州第七三一部隊」。石井四郎軍医中将が部隊長を務めていたため、石井部隊とも呼ばれる。
七三一部隊は森村誠一『悪魔の飽食』で有名になったように、中国で細菌兵器の開発、使用や人体実験などを行ったとされている。この本は、様々な資料からその活動内容を解き明かし、戦後の隊員たちの姿にも迫ったもの。
歴史的に評価の分れている問題だけに、著者も客観性を保って書く努力をしている。その姿勢は評価するが、それでも事実の見極めはなかなか難しい。特に中国の戦犯管理所から釈放された旧日本軍の軍人の証言をそのまま事実と見なすことには慎重であるべきだろう。
この本にも登場するが、石井中将の京大時代の指導教官が清野謙次という人物。この人はいろいろとあった人で、調べてみるとなかなか面白い。
1995年7月20日、講談社現代新書、650円。
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