受賞作は立花開「一人、教室」。
うすみどりの気配を髪にまといつつ風に押されて歩く。君まで作者は高校3年生。若々しい恋の歌であり、言葉をのびのびと使っている。2首目は恋の意識の始まりをあざやかに捉えた歌。大松達知さんの〈a pen が the pen になる瞬間に愛が生まれる さういふことさ〉を思い出した。5首目は「やわらかく監禁されて」に、教室という空間の持つ雰囲気や恋愛中の心理状況がうまく表現されている。
「特別」と言われた日から特別というものになりライラック咲く
子供らが描くような夜と月の空見上げる私はいま美しい
木のへらをがりりと噛んで染み出したミルクの味を吸う夏以前
やわらかく監禁されて降る雨に窓辺にもたれた一人、教室
一連の終わり近くになって、恋の相手が先生であることが明らかにされる。そのあたりの歌をどう評価するか(通俗か、切実か)で選考委員の意見が分かれていたが、展開の仕方に限って言えばうまいと思う。
50首のうち約半数を体言止めが占めていることや、〈「夏行き」のチケット買って飛び乗った快速特急 座席は「青春」〉など明らかに水準以下の歌があることなど、難点を挙げればキリがない。でも全体として、新人賞にふさわしい作品だと思った。
伏見稲荷や萬福寺あたりは、けっこう近所です。
伏見駅の前を通過しました。24号線?
墨染とか深草とかいう地名も通ったような。
うちから歩いて15分くらい。
24号線は京都―宇治―奈良(さらに和歌山まで)を結ぶ国道で、日々の生活で一番なじみのある道です。