2011年10月27日

引用歌の出典の表記

『老いの歌』を読んでいて気がついたのは、引用歌が複数ある場合に最後の歌に出典が記されていることである。
1111111111111111111
2222222222222222222 『A』
3333333333333333333
4444444444444444444 『B』
上の例で言えば、1首目と2首目が『A』から、3首目と4首目が『B』から引かれていることになる。一方で、『転形期と批評』『現代短歌作法』などの小高さんのこれまでの評論集では、初めの歌に出典が記載されていた。
1111111111111111111 『A』
2222222222222222222
3333333333333333333 『B』
4444444444444444444
この例で言えば、1首目と2首目が『A』、3首目と4首目が『B』である。短歌の世界では一般的に、こちらの方式が多いように思う。

今回の『老いの歌』は岩波新書の一冊であり、一般向けに書かれていることもあって、前者の方式になったのだろう。つまり、世間的には前者の方がわかりやすいということだ。

もっとも、上記の二つの例の場合は、どちらの方式を用いているのか迷うことはないだろう。前者では最初の歌に出典がないし、後者では最後の歌に出典がないからだ。

でも、例えば次のような場合はどうだろう。
1111111111111111111 『A』
2222222222222222222
3333333333333333333
4444444444444444444 『B』
この例の場合、前者の方式であれば、1が『A』で2〜4が『B』となる。後者の方式であれば、1〜3が『A』で4が『B』となる。このように、どちらの方式を用いているかで、歌の出典が変ってしまうわけだ。

些細なことではあるのだが、短歌の文章を書いたり読んだりする時に、この表記の仕方がいつも気になっている。

posted by 松村正直 at 19:52| Comment(4) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
気がつかないで読んでいました。
たとえば、P.100 の場合は、直感的に、『昏々明々』から4首と思っていました。
Posted by おおまつ。 at 2011年10月29日 17:57
『昏々明々』から3首?

100ページの場合、歌人であればふつう『昏々明々』から3首+『昏々明々以後』から1首のように読むと思いますが、この本の場合は『昏々明々』から1首+『昏々明々以後』から3首なのですね。

このあたりの常識が、一般社会と歌壇とでは違うのだろうと思います。
Posted by 松村正直 at 2011年10月29日 19:19
そうです。
間違いました。
33ページもいい例ですね。
Posted by おおまつ。 at 2011年10月29日 23:38
33ページも『秋天瑠璃』は最初の1首だけ。
「ぐじやぐじやのおじや」は『風翩翻』です。
Posted by 松村正直 at 2011年10月30日 10:31
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。