震災関連の本をいくつか。
震災5日後の3月16日から、福島市に住む作者がツイッターに書き始めた言葉をまとめた詩集。新聞や雑誌などでも取り上げられて大きな話題を呼んだ作品である。
「詩の礫」の一番大きな意味は、まだ余震の連発する福島で書かれ、発信されたことだろう。1万人を越えるフォロワ―が、リアルタイムでこれを読み、作者にメッセージなどを送った。そうした作者と読者の双方向のコミュニケーションの上に成り立ったものだからである。
ツイッターという新しいメディアが、震災という危機的な状況のなかで、このような役割を果たした点に、何よりも注目した。逆に言えば、「詩の礫」は純粋に詩として、また詩集として読むものではないということかもしれない。
福島は私たちです。私たちは福島です。避難するみなさん、身を切る辛さで故郷を離れていくみなさん。必ず戻ってきて下さい。福島を失っちゃいけない。東北を失っちゃいけない。(3月20日 0:20)
しーっ、余震だ。何億もの馬が怒りながら、地の下を駆け抜けていく。(3月20日 22:01)本書を読んで興味深かったのは「礫の礫」である。これには、旧作のアレンジなどが含まれており、「詩の礫」よりもはるかに〈詩らしい〉作品だ。ただ、その〈詩らしい〉ものが、この詩集にあっては逆に色褪せて見えてしまうのである。
それを、どのように結論づけたら良いのか、とても悩ましい問題だと思う。
2011年6月30日、徳間書店、1400円。