2011年09月28日

こうの史代『この世界の片隅に』


マンガ。上・中・下の3巻セット。

広島に生まれ育ち、呉へ嫁いだ主人公の、昭和18年12月から昭和21年1月までの物語。

時代はもちろん戦時中なのだが、一般的な戦争モノとはまるで違って、戦時中の日常というものが丁寧に描かれている。これは、ジャンルを問わずこれまであまり見られなかったことだろう。

何と言ってもディテールがすごい。米を増量する楠公飯(なんこうめし)の炊き方や、千人針は寅年生まれの人のみ年齢の数だけ刺して良かったこと、B29の引く飛行機雲が当時はまだ珍しいものだったことなどを、このマンガで初めて知った。60年以上前の生活や人々の様子がありありと甦ってくる。

読み進めるのが惜しくて少しずつ読んでいたのだが、とうとう読み終えてしまった。

このマンガは今年の8月5日に終戦記念スペシャルドラマとしてテレビ放映もされている。録画しておいたドラマの方も見たのだが、かろうじて及第点といったところか。原作と違って、テレビだとどうしてもシリアスでウェットになってしまう。キャストでは小姑役のりょうが良かった。

2008年2月12日、双葉社、680円。

posted by 松村正直 at 07:31| Comment(2) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。おすすめの本で紹介されていたので、友達に借りて読みました。コメントしようかな?と思い、今日見ると、同じ著者の別の作でした。そちらも戦争の内容でしたが、今まで読んだどの広島の本とも違って、読んでよかったです。
最新記事の宇宙の本も、読んでみたいと思います。
Posted by モリシマ at 2012年04月10日 17:40
「夕凪の街 桜の国」ですかね。映画にもなっていて、映画(主演:田中麗奈、麻生久美子)の方も、なかなか良いです。作者のこうの史代さんは1968年生まれで、もちろん戦争体験があるわけではないのですが、当時の日常が非常によく描かれていると思います。
宇宙の本は、後半けっこう難しいです。
Posted by 松村正直 at 2012年04月10日 17:50
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