クボー御嶽(沖縄)、大神(おおみわ)神社(奈良)、天理教教会本部(奈良)、稲荷山(京都)、靖国神社(東京)、伊勢神宮(三重)、出雲大社(島根)、沖ノ島(福岡)という日本各地の8か所の聖地を訪れて、その秘密に迫った本。
聖地がどのようにして生まれ、時代とともに変容し、あるいは封印されて現代に至ったのか。聖地とはそもそも何なのかといった根本的な問題を考える上で、とても面白い本であった。
以前、『短歌は記憶する』の中で靖国神社について書いたことがあった。この本でも「靖国神社=戦争、8月15日」といった一般的なイメージだけではなく、例えば7月13日〜16日の「みたままつり」に若い女性が数多く訪れて「ギャルの祭典」になっていること、新年の1月4日には仕事始めのサラリーマンが大挙して訪れて夜店でお酒を飲んでいることなどが記されている。
また、稲荷山(わが家の近所)についてもはこんなことが書かれている。
だが、伏見稲荷大社はもう一つ別の顔をもっている。なるほど、確かにそうだなあと頷かされる指摘であった。
本殿の背後に稲荷山という小高い山があり、そのなかに一歩足を踏み入れてみると、イメージは一変する。(…)重要なのは社殿ではなく、むしろ稲荷山のほうではないか。
2011年6月9日、講談社、1500円。