2011年07月29日
円満字二郎著 『常用漢字の事件簿』
珍しい名字の著者であるが、これは本名とのこと。
漢字をキーワードにした世相史という珍しいタイプの本である。『昭和を騒がせた漢字たち―当用漢字の事件簿』(2007年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)の続編に当る内容で、常用漢字表が施行された1981年から現在までに起きた様々な事件や出来事を、漢字という観点から捉えていく。
テレビドラマ「おしん」に漢字を覚えることの喜びを見出し、「かい人21面相」らの脅迫状に和文タイプからワープロへの進化を読み取る。新党さきがけの「魁」という漢字が何に由来するのかを推測し、漢字が読めないことで麻生元首相が批判されたことの問題点を指摘する。
1967年生まれの著者と私はほぼ同世代なので、リアルタイムに経験して来た事件が次々と登場する。著者の鋭い分析にも納得させられることが多かった。
昨年2010年に常用漢字表は29年ぶりに改訂された。この先、漢字をめぐって一体どんな事件が起きることになるのだろうか。
2010年5月10日、NHK出版生活人新書、740円。
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