編集後記に若き石川編集長が書いている文章が印象に残った。
さて、今号、第一特集で取り上げた短歌における詩性というのは、自分の中で最も大きなテーマの一つでした。読者ニーズではない、という意見もありましたが、詩性は、文学としての短歌をアピールするという小誌の新機軸の中核を成すものであると考えていたし、何より自分個人にとって切実なテーマでした。
雑誌に限らずあらゆる商品の創造に必要とされるマーケティングというものを、個人的にはあまり信用していません。私は雑誌編集者であると同時に一介の読書人です。その立場から見て、マーケティングされたこぎれいなものはつまらないと感じます。一人の著者なり編集者のこだわり、信念が見えないものはやはり面白くない。小誌の読者もそう思う読書人ではないでしょうか。
青臭いと言ってもいい文章だと思うが、こういうのは読んでいて気持ちがいい。どんな分野においても、「質の良いもの」と「売れるもの」を両立させるのは難しいことだと思うが、そこに挑戦しようとする姿勢を応援したいと思う。