MOVIX京都にて。
舞台は70年安保の政治的な運動が高揚から退潮へと転じる1969年〜72年の東京。運動のうねりの中にあって傍観と行動との狭間で揺れ動くジャーナリストが、朝霞自衛官殺害事件に深く関わっていくまでを描いている。原作は川本三郎の自伝的な小説。
監督は山下敦弘。妻夫木聡・松山ケンイチ主演。妻夫木はこれまでドラマや映画で何度も見たことがある俳優だが、今回が一番良かった。
モデルとなった事件が起きたのは、今から40年前の1971年。さすがに当時と今とでは社会情勢が大きく変っていて、登場人物の思考や感情をすぐには受け入れられない部分も多い。革命や新左翼運動に対するシンパシーも、今ではなかなか理解できなくなっているだろう。
そう考えると、短歌の世界で40年前の作品を普通に読んでいるというのは、ある意味、驚くべきことなのかもしれない。例えば河野さんの『森のやうに獣のやうに』も1972年の歌集であるが、それほど違和感を覚えることなく今でも読むことができる。
2011年06月10日
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