今さら、ではあるのだけれど、映画化される前にと思ってあわてて読んだ。
やはり、面白い。エンターテインメントとして面白いだけでなく、ミステリーでもあり、大阪論でもあるような一冊。
「県庁や府庁がある場所って、住所に『大手前』や『追手』や『丸の内』って入っていることが多いんだ。それって、城の近くってことなんだよね。静岡や福井みたいに、堀の内側に庁舎が建っていることもあるし。明治に入ってはじめの頃は、行政の仕組みが整うまで、殿様がそのまま県知事の職を務めたから、きっとその名残だろうね」
こういう何でもない台詞のディテールにも、味わいがある。
新作『偉大なるしゅららぼん』も読まないといけないなあ。
2011年4月10日、文春文庫、714円。