2011年03月22日
有栖川有栖 『作家の犯行現場』
写真:川口宗道。
新潮文庫で探したものの見つからず、古本屋で単行本を購入。
「有栖川有栖 ミステリー・ツアー」という題で「ダ・ヴィンチ」に連載された紀行エッセイ21編+書き下ろし小説2編という内容。軍艦島(長崎)、即身仏(山形)、江戸川乱歩邸(東京)、白駒池(長野)、犬吠埼灯台(千葉)、富士の樹海(山梨)、鳥取砂丘(鳥取)など、有名なミステリーの舞台になった場所や、作者の興味を引いた場所を求めて、日本各地に出かけていく。
ただの旅行記とは違って、推理作家ならではの観察と描写が随所にちりばめられており、「何か起こりそう」な雰囲気に満ちている。同行する編集者の「岸本さん」やカメラマンの「川口さん」とのやり取りも楽しい。
江戸川乱歩邸については、連載第5回に「この乱歩邸の洋館部分と土蔵が豊島区に寄贈されることになった(…)ゆくゆくは“江戸川乱歩記念館”として一般公開する構想があるという」とあり、その後、第14回で「財政的な事情からその計画が撤回されてしまった」と記されている。
さらに注釈に「その後、乱歩邸は立教大学に買い上げられた。現在、一般公開の予定はない」とあって気になったのだが、調べてみると現在では「立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター(旧江戸川乱歩邸)」として公開されているようだ。そのことを喜びたい。
2002年2月16日、メディアファクトリー、1500円。
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