択捉で遭遇したのは「キラー・ホエール」の英名を実践する通過型のシャチだった。
と書かれている。英語でシャチのことを「キラー・ホエール killer whale」と言うことを初めて知った。しかし、どうも疑問が残る。「英名を実践する」とあるが、この英語は「殺し屋クジラ」という意味であって「クジラ殺し」ではないのではないか。それならば「whale killer」とでもなるところだろう。
シャチを広辞苑で調べてみると
クジラ目の歯クジラの一種。体長約9メートル。(…)クジラを襲うので、土佐方言で「くじらとおし」という。
とある。シャチもクジラの一種ということなので、やはり「キラー・ホエール」は「殺し屋クジラ」ということだろう。でも、クジラの一種なのにクジラを襲うことで知られているわけだから、話がややこしくなる。
大辞林には「鯨に鯱」という慣用句も載っていて、
(シャチが鯨を襲う様子から)どこまでもつきまとって害をなしたり、邪魔をしたりすることのたとえ。
とある。ただし、この「鯱」は「しゃち」ではなく「しゃちほこ」と読むらしい。しゃちほこと言えば、あのお城の屋根に載っているやつだ。しゃちほことシャチ。ますますややこしい。「麒麟」と「キリン」のように、想像上の動物と実在の動物という関係なのだろうか。