2011年02月04日

「未来」2月号

「未来」2月号を読む。
昨年夏の全国大会で行われた岡井隆さん、大島史洋さん、大辻隆弘さんの鼎談〈「アララギ」から「未来」へ〉が載っている。これが抜群に面白い。

戦中から戦後にかけての「アララギ」と昭和26年に創刊された「未来」をめぐる話である。話に出てくるのは土屋文明、五味保義、吉田正俊、柴生田稔、小暮政次、近藤芳美、高安国世、杉浦民平といった面々。彼らの作品や素顔、交流などが実に生き生きと語られていく。この時期のアララギは本当に面白い。テレビドラマ化しても群像劇として見応えがあるものになりそうだ。

高安国世についての言及も多く、参考になることがいろいろとあった。「塔」にいると高安さんを一人の歌人としてだけ考えてしまうことが多いけれど、やはり土屋文明や近藤芳美など他の歌人との関係のなかで考えることも大切だと思う。大島さんの「僕は高安さんが好きで、昔、進路に迷った時に、高安さんに相談をしましたらね、緑色の万年筆の字で長い返事をくださったことがあった」という発言が印象に残った。

昭和3年生まれの岡井さん、19年生まれの大島さん、35年生まれの大辻さんという30歳以上離れている三人が、それぞれの知識や体験を出し合いながら、このように同じテーマで深い話ができるというのは素晴らしいことだ。これが結社の力というものであろう。「未来」の中で、大辻さんよりさらに下の昭和50年生まれくらいの世代で、この話に入っていける人が出てくると、また面白いだろうと思う。

posted by 松村正直 at 19:09| Comment(0) | 短歌誌・同人誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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