2011年02月03日

花電車(その4)

最後に、この花電車が何を祝うためのものだったかについて考えたい。

1964(昭和39)年と言えば、まず思い浮かぶのは東京オリンピックである。この年の10月10日(旧体育の日)から24日まで、アジアで初めてのオリンピックが東京で開催された。この東京オリンピックを記念して花電車が走ったということが、まずは考えられる。

しかし、オリンピックの会場は東京を中心とした地域であったので、東京都内で花電車が走るならともかく、滋賀県の江若鉄道で花電車が走るかどうかという点に疑問が残る。むしろ、もう一つの大きな出来事、東海道新幹線の開通の方ではないだろうか。東海道新幹線は東京オリンピックの開催にあわせて、10月1日に東京―新大阪間が開業している。

東海道新幹線であれば滋賀県内も通っているし、同じ鉄道関連ということもあって、江若鉄道で花電車が走る理由にはなるような気がする。何しろ日本の鉄道のあり方を大きく変えた新幹線である。新幹線の開業(10月1日)と花電車の運行(9月20日頃の予想)との間に若干のズレがあるのは気になるところだが。

・・・で、最終的によくわからないままなのである。

鉄道史資料保存会『江若鉄道車輛五十年』(1978)や大津歴史博物館編『ありし日の江若鉄道―大津・湖西をむすぶ鉄路』(2006)なども調べてみたのだが、花電車に関する記述は載っていない。江若鉄道に関する資料は、思ったよりも少ないのだ。

河野さんが花電車を見てからわずか5年後の1969年10月31日、江若鉄道は湖西線建設の決定を受けて廃止されてしまった。翌11月1日には花で飾られた「さよなら列車」が運行され、48年の歴史に幕を下ろしている。
posted by 松村正直 at 20:10| Comment(4) | 河野裕子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「江若」「花電車」で検索してここに辿りつきました。
「花電車」について誰に話してもご存知ないし、あの記憶はなんなのかと。。 ずぅ〜と気になっていました。 夢の中の記憶なのか、勘違いになのかと気になっていました。

 そうです。妹が産まれた翌年で、幼稚園に通ってる頃でしたから 1964年なんです。当時は幼稚園でも園児だけで歩いて通うというのどかな?時代でした。
江若の踏切を渡って通っていましたが、時々見かける花で飾られた「花電車」が大好きだったんです。
親と一緒の時、「出会えるかなぁ〜」程度のものでしたが、6歳の子供。。
親から離れて歩けば「花電車が見たい」と思えば、幼稚園へ行くこと等忘れ、疎水の橋に立って、何時間も待っていました。。
何時間も待って 出会えたら嬉しくって。。 毎日のように待っていたように思います。

後年 いれは 廃線前の花電車だと納得していましたが、廃線が1969年と聞けば、記憶とは10年も違うんです。。

で。。あれは なんだったんだろう〜〜。。。
現在 歴史博物館で開催されている「江若鉄道の思い出」に行き、再び 疑問になり 検索してここに辿りつきました。

ありがとうございます。

確かに走っていたのですね。。


このコメントが松村正直様に届くことを願います。
Posted by yume at 2015年03月16日 11:30
yume様

コメントありがとうございます。

1964年に走っていた花電車は、琵琶湖大橋開通を記念してのものだったようです。詳細は2011年2月6日〜9日に「続・花電車」という題で書きました。

たぶん、当時はいろいろな記念行事にあわせて花電車が走っていたのだろうと思います。

幼い頃の記憶というのは、大人になればなるほど懐かしいものですね。少しでも記憶を探し出す手掛かりになれば嬉しいです。
Posted by 松村正直 at 2015年03月16日 17:48
松村様、早速のコメントありがとうございます。
2011年2月の記事、わくわくしながら読ませて頂きました。
松村さん自身 疑問に思われ、あらゆる方法でお調べになったんですね。 疑問に思った事は、とことん調べる。。大切な事ですし、もやもやが消えるので気持ちいいものです。


 花電車を楽しみにしていたのは、1964年4月〜1965年3月までの間だった事は確かですが、何度か見たのはどうしてだったのか気になっています。 また何かわかればお知らせします。

 「花電車」の記憶が確かだった事を確認出来た今日は 気持ちよく眠れそうです。
Posted by yume at 2015年03月16日 21:47
「yume_cafe」の2013年3月21日の記事、拝読しました。「幼い頃の思い出を、くっきりと見るのが好きです」という気持ち、よくわかります。

江若鉄道の花電車の話は、「京都新聞」のマイクロフィルムで見つけた時は感動しました。がんばって調べれば見つかるものですね。

さらなる手掛かりが見つかることを祈っております。
Posted by 松村正直 at 2015年03月18日 06:14
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