ベトナムで見られるちょっとユニークな盆栽「ホンノンボ」をめぐる旅行記。カラー写真がたくさん載っていて、ホンノンボの入門書(?)としてはうってつけ。
ホンノンボの特徴として著者が挙げているのは
○本体が岩(石)であること
○ミニチュアがのっていること
○水を張った鉢のなかにあること
の3点。特に2つめのミニチュアの存在が大きいだろう。日本でもパラダイス山元氏提唱の「マン盆栽」というのがあって、近年流行を見せている(?)が、ベトナムには古くからそうしたタイプの盆栽があったらしい。
ミニチュアをひとつ置くだけで、それが周囲の岩や草や苔の縮尺に変化を与え、なんでもない苔の茂みが鬱蒼としたジャングルに見えてくることもある。
と記しているのが大事なポイントだろう。ミニチュアの人形が置かれることによって、縮尺による見立てがイメージしやすくなるのである。よく写真に撮ったものの大きさを示すために、横にタバコの箱を置いたりするが、あの感じと似ている。
ベトナムには十年ほど前に一度行ったことがある。交通量の多い都市部の道路を横断する際の方法として
逆説的だが、ベトナムではあまり車やバイクに気を配ってはいけない。ゆずり合いの精神は事故の元である。ここでは、ゆずり合うのではなく、一歩踏み込んで、土石流と調和することが大切なのだ。すなわち自分も土石流になったつもりで、対岸へ向け、一定の速度で流れるのである。
とあるのを読んで、確かにそうだったなあと懐かしく思い出した。ベトナム旅行には楽しい思い出がたくさんある。そう言えば、このホンノンボの世界も、ベトナムで観た水上人形劇とどこか共通点があるような気がする。
また行ってみたいな。
2007年2月20日、ポプラ社、1500円。