パロディーコマーシャルという読者投稿の広告欄があるのだが、そこに「シックス スーパー2」という商品が載っている。東京都渋谷区の梶塚盛利さん、21歳の作品。絵とともに書かれている説明文は次のようなもの。
切れ味さえる理想の6枚刃!! まず、1枚目の刃がヒゲをひき出しながらカットします。ひき出されたヒゲが毛穴に戻る前に、すかさず2枚目の刃がより短くカット。これを6回繰り返すので肌に無理なく深ぞりができるシックススーパーカットです。
これは、1972年に登場した2枚刃のカミソリ「シック スーパー2」を元にしたパロディー。2枚刃を大々的に宣伝していた商品のブランド名をもじって6枚刃にしてみせたわけだ。
ただ、今の目でこのパロディーを見てみると、少し印象が違ってくる。1990年代以降、シックとジレットによるカミソリの刃の枚数競争が続き、現在では両社ともに最新タイプは5枚刃となっている(ちなみに私が使っているのもジレットの5枚刃)。本当にいつ6枚刃が出てきてもおかしくない状況になっているのである。
1977年に作られたパロディーが未来を予言していたとも言えるし、あるいは、私たちがあり得ない話を現実にしてしまったと言えるのかもしれず、少々複雑な気持ちになる。
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この記事が雑誌に載ってから35年。
楽しいような、恐ろしいような。
21歳当時から
次の可能性を思うことがとても楽しみでした。デザイン学校を卒業してからデザイナー、AD、商品開発などの分野で仕事を続けています。
柔軟な発想力をこれからも持ち続けていきた
いですね。
まさかご本人からコメントをいただけるとは思いませんでした。ありがとうございます。
新しいデザインや新しい商品が、新しい生活や時代を切り拓くことがあるのでしょうね。そう考えるとワクワクします。