田原市博物館発行の『杉浦明平の世界 「みんぺーさん」の記憶と魅力」という図録がある。杉浦の故郷の博物館で今年の夏に行われた企画展のもの。
杉浦明平は現在、短歌の世界では忘れられかけている存在であるが、一高在学中に「アララギ」に入会して土屋文明に師事、戦後の「アララギ」や「未来」などで大きな役割を果たした人物である。
この図録を見ると、杉浦の交友関係の幅広さとその業績の大きさに驚かざるを得ない。杉浦は手紙類をすべて捨てずに残していたそうで、厖大な量の手紙が杉浦家には残されているとのこと。現在その一部が田原博物館により分類・整理されつつある。
高安国世が杉浦に宛てた手紙がないかと同博物館に問い合わせたのをきっかけに、この図録も送っていただいた次第。残念ながら高安の手紙は、未整理の手紙の中に埋もれている状況らしい。いつかそれらが整理される日を待ちたいと思う。
それにしても、こうした企画展を行い図録を刊行するには大変な尽力があったことだろう。非常に充実した内容の図録である。田原博物館と学芸員の皆さんに深く感謝したい。
2010年12月27日
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