「アークレポート」3号の「ゼロ年代短歌私史」(柳澤美晴)の中で、2007年のところに「松村正直と佐佐木幸綱」の論争のことが取り上げられている。あれからもう4年近い歳月が経ったのかと、個人的には感慨深い。
興味のある方のために、資料的なことを整理しておこう。直接関係のあるものは、以下の4点である。
○佐佐木幸綱・来嶋靖生・間ルリ「作品季評」(「短歌研究」2007年1月号)
○松村正直 歌壇時評「歌を読む姿勢」(「短歌」2007年3月号)
○佐佐木幸綱「批評と礼節…三月号歌壇時評『歌を読む姿勢』を読んで」(「短歌」2007年
4月号)
○松村正直「『批評と礼節』に答える―佐佐木幸綱氏へ」(「短歌」2007年5月号)
また、この論争について触れた時評・発言としては、次のようなものがある。これ以外にもネットなどでいくつかの意見を読んだが、結局後まで残るのは紙媒体のものということになる。
○大辻隆弘「非抑圧的対話状況」(「青磁社週刊時評」2007年3月26日『対峙と対話』収録)
○吉川宏志「ジャンルの危機―言論を封じないために」(「青磁社週刊時評」2007年4月2日
『対峙と対話』収録)
○米口實 短歌時評「批評という行為」(「眩」76号 2007年5月)
○菊池裕 異論・正論「批評と論争」(「開放区」第79号 2007年6月)
○田村広志 時評「短歌の財産」(「歌壇」2007年6月号)
○谷村はるか 時評「届け先はもっと遠くだ」(「短歌人」2007年6月号)
○小林文子 歌壇時評「ある論争―姿勢と『嘘』と礼節と」(「林間」2007年7月号)
○田島邦彦 今月の視点「批評用語の問題」(短歌往来)2007年8月号)
○武藤雅治 視点・論点「『嘘』の行方」(「開放区」第80号 2007年10月)
○篠弘 歌壇への提言「読み込みの功罪」(「角川短歌年鑑」2008年1月増刊号)
既に過去のものとなった論争について、今さら何も言うことはない。論争を通じて得たものも失ったものもたくさんあったが、それは当然、私自身が引き受けるべきことである。ただ一つだけ残念なのは、あれ以来、「時評」と名の付く原稿依頼が一件も来なくなってしまったことだ。
砂丘の見える朝の大浴場を思い出します。
あれ以来、鳥取も行ってないなあ〜。