同人誌「アークレポート」3号を読んでいる。北海道の若手歌人が作る超結社「アークの会」の会報だ。メンバーは阿部久美、北辻千展、佐野書恵、樋口智子、真狩浪子、柳澤美晴、山田航。(「やなぎ」の正しい字が環境依存文字なので「柳」で代用してます)
見出しの付け方や字体などに工夫があり、読む気をそそる誌面になっている。全60ページにわたって目配りが行き届いていて、同人誌としてはかなりハイレベルであろう。ところどころ誤字に訂正の紙が貼ってあるのも、その手作業の労力などが思われて好ましく感じる。
メンバーの30首、15首の連作、歌会記、書評などのほかに「ゼロ年代を問い直す」という特集が組まれていて、これが非常に充実している。「ゼロ年代の自然の歌二十五首」や「ゼロ年代の第一歌集」などの選があり、また柳澤さんが「ゼロ年代短歌私史」という文章を書いている。これは2000年から2009年までの短歌界で起こった出来事を一年ごとにまとめたもので、この十年の短歌史が柳沢さんの目を通してよく見えてくる。
ちょうど先月京都でも「ゼロ年代を振り返る」というシンポジウムがあったところ。これからの短歌のあり方を考えるためにも、この十年の流れを整理しておくことは大切なことだろう。
2010年12月15日
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