旧植民地関連本。
大正12年7月31日〜8月11日にかけて、宮沢賢治は樺太へ旅をした。行先は栄浜(現スタロドゥプスコエ)。前年に亡くなった妹トシの鎮魂の旅であった。
わたくしが樺太のひとのない海岸を
ひとり歩いたり疲れて睡つたりしてゐるとき
とし子はあの青いところのはてにゐて
なにをしてゐるのかわからない
『オホーツク挽歌』
今回、この本を読んで初めて知ったことがある。それは北海道の稚内と樺太の大泊(現コルサコフ)とを結ぶ稚泊航路の就航がこの年の5月1日であったこと。これにより本土と樺太は鉄道で結ばれることになったのだ。
そして、その終点が栄浜なのである。つまり、栄浜は当時日本の最北端の駅であったわけだ。宮沢賢治が栄浜に降り立ったことにも時代的な必然があったということになる。
一度、行ってみたいな。
2009年6月20日、東洋書店ユーラシア・ブックレット137 600円。