日本語関連本。
副題は「国語から日本語、そして○○語へ」。タイトルや副題にある通り、国語=日本語=日本人=日本国=日本文化といった図式を検証することに焦点を当てた一冊。最近はやりの「美しい日本語」論や藤原正彦『祖国とは国語』などへの批判の書でもある。
著者の主張には半ば同意するのだが、イデオロギー臭の強さに辟易させられる。「国語」という思想が差別や排除といった暴力と結び付いてきたのは確かなことだと思うが、そうした考えをすべて「思い込み」「欠陥」「虚妄」「迷妄」と切り捨てて、「今こそ、十分な反省がなされなければいけません」といった文言を繰り返すのはいかがなものか。
「国語」という呪縛から抜け出ようとするあまり、別の呪縛に囚われているような印象を受ける。バランスの良い記述をすることの難しさを考えさせられた。
2010年2月1日、吉川弘文館、1700円。
2010年06月10日
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