2010年06月05日

「現代詩手帖」6月号

「短詩型新時代」という特集が組まれている。座談会に岡井隆・穂村弘が出ているほか、野口あや子・松木秀・望月裕二郎・雪舟えまといった方々が文章を書いている。

「ゼロ年代の短歌100選」(黒瀬珂瀾編)「ゼロ年代の俳句100選」(高柳克弘編)というアンソロジーも載っている。この黒瀬・高柳の二名+詩人の城戸朱理が行った鼎談「いま短詩型であること」が面白かった。
つまりつくる技術、いかに俳句を仕立てるのかというレトリックを教える場というよりも、作品を読む技術を伝えていく場所として結社という場がなくてはならないだろうと私は思います

という高柳さんの発言は短歌にも当てはまることだろう。結社の問題以外にも、私性や口語やインターネットをめぐる様々なやり取りがあり、興味深い。

「ゼロ年代の短歌100選」はこの十年の間に話題になった作品がバランスよく取り上げられている。「新旧の価値観が渾然一体となっている場から選び、それぞれの価値観を並列させていった」と述べる黒瀬さんのスタンスがよく表れた選びだと思う。

「俳句100選」の方から印象に残ったものを少し。
亡き人の香水使ふたびに減る  岩田由美
水遊びする子に先生から手紙  田中裕明
帰りたし子猫のやうに咥へられ 照井 翠
実(じつ)のあるカツサンドなり冬の雲 小川軽舟
ガラス戸の遠き夜火事に触れにけり 村上鞆彦

2010年6月1日、思潮社、1400円

posted by 松村正直 at 01:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 短歌誌・同人誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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